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そろそろ落ち目と言われて久しいAKB48のニューシングル売り上げが初週ミリオン達成濃厚なたったひとつの理由

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写真:JKT48の2ndシングル購入時の写真(筆者購入)

一昨日12月11日(水)にAKB48の新シングルが発売され、初日売上げは916,912枚だった。そろそろ落ち目と言われて久しいAKB48だが、セールスはまだまだ好調であることを見せつけた形となった。なぜこの牙城がゆるがないのか、この人気が全く理解できない人々のにその理由を説明するためにこのエントリを書いた。

カウントしたら8000字をゆうに超えており、理解できない人たちが最後まで読んでくれるとは到底思えない。かといって、ファンの方々にしてみれば当たり前なことがつらつらと書いてあるが、ぼくはド新規なので、まずは熱心なファンの方々から読んでもらって、意見をいただけるとありがたい。

目次

はじめに
会いにいけるってどういうこと?
会える=双方向性の担保 CDを大量購入する理由その1
推すって何だ=テレビを見てCD買う以外の応援もできる
選抜総選挙=運営への口出し権 CDを大量購入する理由その2
芸能とパトロン
結論

はじめに

2005年に結成され、2009年頃からマスメディアでの露出が増えてから約5年の間トップアイドルとして君臨し続けているAKB48AKB48のCDセールスが引き続き好調な理由は、熱心なファンが複数枚購入するからである。いつしか彼女たちのCDが発売されるたびに、多くのファンが同じCDを何枚も購入しする姿が報道され、物議をかもすという現象がしばしば見られるようになった。

そしてこの一人のファンが同じCDを複数買うようにしむける様々売り方は「AKB商法」といって大きな批判を浴びている。この大きな批判はチャートの信用性や、ファンからの搾取といった面からのものである。しかし「AKB商法とは何だったか」を読めばわかる通り、CDのジャケットや封入特典を数種類用意してファンに複数購入を迫るやり方はAKBのみが行っているものではない。

そうしたことをふまえると、批判の大きさの背景には、売り上げの数字の大きさと共に、ひとえに同じ曲が入っているCDを何枚も買うことが皮膚感覚的に全く理解できないという不気味さがあるのではないか。
あるいは、いい大人が若い女の子との疑似恋愛を楽しんでいるなんて、、、という嫌悪感を持っている人もいるだろう。そういった方々への説明をしてみたくてこのエントリを書いている。

熱心なファンはなぜCDを複数枚、それも大量に購入するのだろうか。結論から言うと、熱心なAKB48グループファンは、CDに入った音楽というコンテンツを末端消費者として享受しているのではなく、「小口化されたパトロン権」の購入をしているのである。アイドルとの疑似恋愛を楽しむ人々がいるのと同じように、疑似パトロンとしての立場を楽しんでいるのだ。
そしてCDを大量購入する理由はふたつある。握手会への参加のためと、選抜総選挙で自分の好きなメンバーに投票するためだ。この二つがどのように「小口化されたパトロン権の購入」につながっているのかを説明する。

この文章は、AKBの人気が理解できない人へ送るものであるため、まだ説明が不十分だと思う。説明を追加する前に、AKB48の活動についての簡単な説明とファンの活動について触れておく必要がある。

会いにいけるってどういうこと? - 公演と握手会

「会いにいける」要素は二つに大別される。それは公演と握手会である。

公演って何だ

「会いにいけるアイドル」というコンセプト結成されたでAKB48。東京の秋葉原に専用劇場をもち、メンバーが歌って踊る公演が、原則毎日キャパ250人の会場で行われている。また公演終了後に出演メンバーとハイタッチできる(これが恒例化したのは2010年以降と実は最近である)。
ライブで行われるエンターテイメントは、客と演者の距離が近ければ近いほど客の満足度は上がる。その意味では、狭い会場で行われる公演はコンテンツとして魅力が高い。
一般向けの人気が高まる前は容易にチケットが入手でき、さらにメンバーとのコミュニケーションも容易だったため、熱心なファンがメンバーにアドバイスをするなど文字通り距離が近かった。時間さえかければ全公演参加する事も可能であった。

しかし会場が小さい分、当然入場できるファンの数は少ない。2005年時点では入手が容易であったチケットも、ファンが増えると共に入手困難となっていった。毎回抽選が行われるチケットは、CDが全国規模で売れる前から、既に入手は困難となり、そして一般向けにも知名度が浸透した現在では、抽選の倍率は100倍を超えることもあるなど、プラチナチケットとなっている。この側面だけを見ると、現在AKB48は「会いにいけない」アイドルとなっている。

「会いにいける」というコンセプト自体は真似しやすいものであり、地下アイドルの氾濫が起こった。しかし多くの地下アイドルはクオリティの低さを「近さ」でカバーするものであったのに対し、AKBは楽曲を含むパフォーマンスや劇場含む仕掛けにコストをかけ、高いクオリティと「近さ」を両立していたので、他の地下アイドルの追随を全く許す事はなかった。

握手会って何だ

AKB48はCDを発売するたびに(何枚目以降)、握手券を封入している。CDを購入し握手券を手に入れいる事で、メンバーと握手をできるイベントへの参加が可能となる。なお握手券一枚につき10秒程度握手する事ができる。
握手会については人気が出始めた後も、会場の規模を大きくするなどして対応しているが、CDを発売するペースに握手会開催のスピードが追いついていない。2014年1月発売のCDアルバム購入特典であるイベントのスケジュールは、2014年5月と約半年先であり、かなり苦しいものとなっている。ファンから見れば、自分の応援しているメンバーが半年後も在籍しているかはわからないし、極端なことを言えば運営会社だって存続しているかはわからない。

ファンが少なかった頃に「会いにいけるアイドル」だったAKB48は、今もなおかろうじて大規模な握手会によってその特質を維持しているのである。

以下の通り姉妹グループが多数存在し、その総称としてAKB48グループまたは48グループと称される。本エントリでは48グループで統一する。
AKB48の姉妹グループとして愛知県を拠点とするSKE48大阪府NMB48、福岡圏にHKT48インドネシアの首都ジャカルタJKT48、中国の上海にSNH48が存在する。


「会える」ことの意味=双方向性の担保 - CDを大量購入する理由その1

これまで数多のアイドルグループが生まれてきた中で、「会いにいけるアイドル」は初めてではなかったが、これほどまでに知名度が高くなった状況でも定期的に「会いにい」くことができるアイドルは史上初である。
そしてここからが本題の一つであるが、CDを複数枚(それも大量に)購入するファンはAKB48グループのメンバーと文字通り”握手”をすることを望んでいるのではない。「女の子と触れたいならキャバクラに行け」といった傲慢かつ無理解な声をよく聞くが、我々は性的な意味で”触れる”ことを望んでいるのではない。公式に双方向性が担保されている場、かつ直接コミュニケーションできる時間を買っているのだ。

AKB48グループ以外のアイドル、もしくは芸能人を応援する場合、どのような方法があるだろうか。ファンレターを送ったり、プレゼントを贈る。これも一つの方法だ。あとはテレビやラジオ、雑誌の露出やイベント出演に居合わせる、または出待ちなどがそれにあたる。出待ちなどは迷惑行為ともとれるので応援と言えるかは難しいが)。しかしファンレターやプレゼントをせっせと送っても、喜んでくれるかはわからない上に、もっといえば本人に届いているかすら不透明である。

ところが握手会のような場がある場合、定期的にファンレターを送っていたり、イベントに参加している場合はメンバーが覚えていてくれたりする。応援し甲斐があるし、もっと応援して上げたい気持ちも大きくなる。シングルCD一枚につき一枚の握手券を手に入れることができ、一枚につき10秒とされている。そしてメンバーと話したり励ましたりする、そういった場を得るためにCDを買っているのである。

メンバーにとっても、自分を応援してくれるファンを身近に感じることができる場は励みになるはずだ。
例えばあなたがメーカーにつとめている場合、売り上げの数字がもちろん重要だが、ユーザーからの「いつも使ってます、便利です」と言う自社製品への声はやはり励みになるだろう。ぼくは以前新聞社につとめていたが「いつも新聞読んでますよ」と言われるとうれしかった。基本的にはどの業界でも、ユーザーやファンからの直接的な声というものは、仕事の中での喜びの大きな部分を占める。
知名度が高く多忙なメンバーにとっての身体的負担は大きいが、ファンだけでなく、多くのメンバーにとっても意義のある仕掛けであるといえる。

ちなみに、ファンが少ないうちは「ぼくらのメンバー」
ファンが増えてくると「みんなのメンバー」
一般向けに知名度が高くなると「手の届かない存在」
となってしまうので、あえて知名度の低いメンバーを応援するなどの楽しみ方もある。

推す=テレビを見てCD買う以外の応援もできる

「推しメン」「推す」という言葉をご存知だろうか。AKB48グループに限らず、女性アイドルグループ全般のファンの間で用いられている言葉だ。「推しメン」というのは、イチ推しメンバーの略で、自分が応援しているメンバーを指す言葉である。「ぼくの推しメンは誰々だ」と行った具合で使う。「推す」というのはそれを動詞にしたもので、誰々を推している、と行った具合に使う。ちなみにジャニーズファンの間では「担当」という言葉が似たような意味で使われている。

この「推す」という言葉は非常に広い意味を持っていることばである。それは応援の方法は数多く存在する。ところが様々な人々が全く違った文脈でこの言葉を使うため、どんどん実像がぼやけていくのである。
(誰かを応援する、「推す」という行為は尊いもので、宗教のような社会の連帯を生んでいくという大風呂敷を広げる評論家もいたりして、この現象の外にいる人たちにとってはますます訳の分からないものとして認識されていく。)

AKB48グループの芸能活動形態には様々な種類がある。以下が主なもの。
秋葉原の劇場でほぼ毎日行われている公演
◆定期的に開催されるドームなどでの大規模なライブ
◆シングル•アルバムCDの発売とそれに伴うマスメディアへの出演
◆CDの発売ごとに行われる握手会
選抜総選挙
AKB48のメンバーとしての、マスメディアへの出演やキャンペーン仕事など
◆メンバー個人としてバラ売りの仕事

運営事務所は各活動におけるメンバーの人気や実績を常に把握している。公演であれば応募の倍率、握手会であれば動員数、マスメディアへの出演であれば視聴率など。その数字がよければ事務所内での扱いがよくなり仕事が増える。これはAKBに限らず芸能活動事務所としては自然な措置である。
ファンは推しているメンバーの実績を少しでも上げることによって、少しでも事務所からの扱いをよくしてあげたいと願う。好きなメンバーが活躍の場を広げると、ファンの楽しみも増えるのである。基本的には上記の活動へ参加および視聴することが「推す」ことの要素である。

このように「推す」とは何かを分解してみると、劇場公演に行くこと、CDを買って握手会に行くこと、推しメンの出演するテレビやラジオを視聴、出演するイベントへの参加、総選挙での投票、それに加えて伝統的な応援の方法であるファンレターやプレゼントといった要素が出てくる。これらの行動の複合が「推す」ことの中身となっている。

メンバーにもよるが多くの場合、歌手や女優、バラエティタレントや声優などの目標をもって活動している。その夢に近づくためにも、グループ内での序列は高い方がいいし、そのためにファンは「推す」のである。

CDシングル曲は毎回16名(違う場合も稀にある)選ばれ、これを「シングル選抜」という。そしてこの選抜に入るとマスメディアへの露出もできるため、メンバーにとっては大きなチャンスとなる。ファンは自分の推しメンが選抜に入ることを願いながら、日々「推し」活動しているのだ。

従来型の芸能人よりも多様な活動があり、一年に数回行われる大型施設でのコンサートの他にはマスメディアを眺めることしかできない場合よりも、主体的な活動が可能になりファンの満足度は高いといえる。


さて、上記の活動の中でAKB48グループの独自性が強いのは選抜総選挙である。
ここが本題の、「パトロン権の小口化」が最大限行われる、ファンが運営に参加できるイベントだ。

選抜総選挙=運営への口出し権 CDを大量購入する理由その2

AKB48グループの代名詞のように使われることもあるくらい象徴的なイベント。一年に一度行われる、AKB48SKE48NMB48HKT48の所属メンバーすべてのが参加可能な、人気投票を行うイベントだ。(JKT48も参加してほしい)

AKB48グループではCDが発売されるたびに参加メンバーが運営事務所によって決定されている。シングル選抜への参加は、楽曲やPVへの参加だけでなく、CD発売を引っさげてメディア露出が行われるため、芸能人としての知名度やキャリアにも大きく影響する。
そんな中、一年に一度だけ、ファンが誰をCDに参加させるかという意思決定に参加することができる。それが総選挙なのだ。

CD一枚につき一枚の投票権がついていて、一人当たりの上限は無い。お金を持っていればいくらでも投票することができる。

ちなみに、この場での人気投票の結果は、投票後に発売されるシングルCDのみへの反映となっており、その後のシングルCDへの参加メンバーは、また事務所が選ぶことになっている(この事実については多くの人が知らないようである。僕の周りでも、選挙結果はしばらく反映されると思っている人が多い)。

この人気投票の結果は大きく報道されるため一般向けの露出にも影響が強く、またここでの人気が示されれば、運営側も今後一年は露出を増やさざるを得ない。その一例がSKE48の柴田亜弥だ。
彼女はCDへの参加も無く、公演でもたくさんいるメンバーのうち、立ち位置は後ろの方と非常に扱いが悪かったという。そこで彼女を推すファンが一致団結をして(選挙前に卒業した他のSKEメンバーファンの票の流れた影響が大きいとも言われているが)、中間発表で8位、最終結果で17位に入ったのだ。前回は64位までに入れなかったことを考えると大躍進である。そしてその後SKE48名義でのシングル選抜に起用され、テレビでの出演も増えている。
このように、選抜総選挙で推しメンの順位を上げることは文字通り彼女らの芸能人生の死活問題に直結しており、できる限り応援するべくCDを大量購入しているのだ。

芸能とパトロンの関係

古来より、芸能とパトロンは切っても切りはなせないものである。中世ヨーロッパでの職業組合や教会組織、または富豪や貴族、時の支配者などが顕著な例だ。日本でも、古くは世阿弥が室町将軍足利義満の庇護の元にあったし、義持が没した後には弾圧されるなど、支援者がいなければ活動することが困難となる。
現代の日本において、相撲や歌舞伎においてタニマチ文化は明確に残っている。マスメディアにおける芸能活動も大企業メーカー等の宣伝費などがなければ立ち行かない。週刊誌に漏れ聞こえる芸能界のパトロン文化も、眉唾ものではあるが存在しても何ら不思議なことではない。

さて、例えばパトロンになると、どんなことができるだろうか。自分の気に入った人物のキャスティングを少しばかり有利にしたり、その人物を見守り、定期的に面会して励ますなどのサポートをすることが可能になるかもしれない。
これらはAKB48のファンとして、CDを大量に購入することにより、なし得る事と似ていないだろうか。パトロンになるには相当規模の資産が必要になる。ところがAKB48の界隈では、CDを買うだけでパトロンになる(もしくはなった気分になる)ことができるのだ。

結論

長くなったが結論としては以下の通りとなる。
CDを買うという行為を、音楽コンテンツの消費という側面から見ると、同じCDを複数購入する事は馬鹿げている。しかし、CDを「小口化されたパトロン権」と見なし、疑似パトロン関係を楽しむために購入しているのだと考えれば、非常に安いと言えるかもしれない。
例えばCDを年間30万円分(シングルCDにして300枚)買うファンがいたとしよう。ただCDを買うのに30万円といえば馬鹿げているが、一人の芸能人のパトロン権を30万円分買ったといえばそんなに高い気がしないかもしれない。そして同じメンバーを推す仲間が集まれば、推しメンの活躍の場を広げられる。インターネットを活用しやすい時代ならではの可能性だ。このファン同士のつながりが楽しくてオタク活動をしている人も少なくない。

そういった気持ちで「推し」ている人が、CDを大量に購入したりイベントに参加しているのである。それを「親のような気持ち」と表現する人もいる。

パトロンになった気分になるためであれば小額のコミットで十分だし、運営の意思決定に大きな影響を及ぼしたい場合には多額のコミットが要求される。
(例えば第一回の選抜総選挙では前田敦子が4630票で一位に輝いた。このときであれば一票1000円換算で、463万円で意中のメンバーを一位にすることができた。これは天文学的数字では決して無い。CD購入額としてみれば馬鹿げているが、相当規模の注目度を購入する金額と見ればあるいは、、、?)

いずれにせよ、CDを複数購入する理由は、その行為が「推す」ことにつながっていて、疑似パトロンとしての立場を楽しんでいるからである。これがAKBオタクがCDを大量に買うたったひとつの理由だ。


※握手会には複数種類があること、メンバーによって所属事務所が異なること等は、本筋から少し外れるため省いてある。

参考文献:

参考:  
とあるはるきゃん(石田晴香)推しの方のアドバイス