JKT48がAMIアワード受賞 - 知名度上昇の証とカバーである弱み露呈
写真:AMIアワードロゴ
AMIアワードって何?
さて、先日JKT48がAMIアワードにて、でグループボーカル部門で優秀賞を受賞した。AMIは「Anugerah Musik Indonesia(インドネシア音楽賞)」の頭文字をとったもので、1997年から開催されている、著名なミュージシャンや音楽業界関係者、音楽評論家などが審査員を務めるもの。 インドネシア語wikipwdiaによるとBeatという雑誌でインドネシアのグラミー賞とも記述されていたという、インドネシア音楽業界の最も権威ある賞である。
JKT48は昨年ノミネートもされていたが、受賞には至らなかった。一念越しの雪辱を果たした形だ。昨年までもいくつかの賞を受賞はしていたものの、それらの賞はファン投票によるものが多かった。熱心なファンが投票を頑張っていただけだと言う見方もできたわけだ。
知名度上昇の証を得たが…
ところが今回受賞したAMIアワードは審査員のいるれっきとした音楽賞である。この場での受賞はインドネシアの音楽業界で認められたと言っても過言ではない。この受賞には非常に大きな意味がある。
しかしその一方で、以前のエントリでも危惧していたことが現実となった。彼女たちの歌う楽曲が、オリジナル曲ではなく、日本人の手による曲のカバーであることへの批判が多くなってきていることだ。
以下はその批判の一部だ。KOMPASIANAという、インドネシアで一番大きな新聞・出版社が運営する市民メディアの記事である。
AMIアワードで日本の曲が受賞
日本でつくられ、オリジナルの歌詞は日本語。そしてリリースも日本でされた曲がインドネシア語に翻訳され、そしてAMIアワード2014を受賞した。ただ首を傾げることしかできない。インドネシアのすばらしい音楽賞は、いつから茶番へと成り下がったのか。
私のような音楽好きにとって、AMIアワードは唯一の客観的な賞だと言える。他の賞のようにSMSやインターネットによる投票ではなく、審査員に判断されるからだ。AMIアワード自身のウェブサイトによると、審査員には、それぞれの部門においてすばらしい専門家を数多くそろえている。著名なミュージシャンや音楽業界関係者、音楽評論家などだ。これらの情報は、公正で自然な評価による判断がなされると期待させるものであった。
しかし今夜のベストボーカルグループソング受賞者の発表を見た後、私のAMIアワードへの評価は変わった。以下がその候補者のリストだ。
最優秀グループボーカル部門
1. Cinta 7 Susun (7Icons, Rino Hadisa/Keci Music)
2. It’s You (Bexxa, Catz Records)
3. Diam Diam Suka (Cherrybelle, Catz Records)
4. Ngaca Dulu Deh (Coboy Jr, Patrick Effendy/Seven Music)
5. River (JKT48, River)
6. Gara-Gara Kahitna (Project Pop, RPM)
まず最初にこのノミネートされた候補者リストを見たとき、JKT48のRiverが入っていることがひどく不自然に思えた。冒頭で記載した通り、この曲は日本人の手による日本語の曲である。2009年の10月21日にAKB48というグループが日本でリリースした後、インドネシア語に翻訳され、JKT48に歌われている。そしてもっと悪いことに、この曲は他のインドネシアオリジナルの曲をさし置いて、この部門にて受賞を果たしたのだ。
率直に言って、この部門の審査員が何を評価したのか全く理解できなかった。CDのセールスも評価対象であるだろうが、それであれば審査員など必要ない。ただひとつ考えるヒントを探すとすれば、AMIアワードのウェブサイトを見るしかない。尊敬または支持されているインドネシアの曲を選ぶことが使命である旨が記載されている。日本の曲ではなく。
引用・翻訳元:
Sebuah Lagu Jepang Menangi Anugerah Musik Indonesia Awards 2014
HL | 20 June 2014 | 00:49
http://hiburan.kompasiana.com/musik/2014/06/20/sebuah-lagu-jepang-menangi-anugerah-musik-indonesia-awards-2014-659655.html
JKT48が戦っている2種類のアンチ
知名度が上がることによってアンチが増えることはAKB48も辿った道ではある。売れすぎてしまうと、音楽通を自負する人々からの批判はやまないようになるのだ。翻訳した記事中でも、CDのセールスは認めざるを得ないような記述がなされている。
AKB48の場合も、知名度が上がりCDのセールスが安定した後にすら、レコード大賞の審査員に「これが日本の現状です。」 遠回しに批判されてしまったりするのは、アイドルグループの宿命ですらあるように思える。しかしJKT48が戦っているのは音楽通だけではない。
しかし上記の記事を読むと、音楽通アンチの戯れ言で片付けることはできない。例えばKARAや東方神起が日本のレコード大賞などで最優秀賞を取った場合、批判が全く起こらないと言えばウソになるだろう。民族感情とも戦わなくてはならないのだ。
つまりJKT48は知名度上昇により、今後は音楽通と民族感情というふたつの敵と戦うことになるのだ。
秋元先生!オリジナル曲をお願いします!
オリジナル曲や公演がない中で、3年間地道に頑張ってきた結果、音楽業界に認められるところまできた。これは48Gのフォーマットがすばらしいことの証明であると共に、JKT48メンバーとファンたちが頑張ってきたことも意味する。これ以上の飛翔を目指すには。アンチを黙らすためにも、そしてJKT48メンバーやファンたちの希望を叶えるためにも、オリジナル曲を作っていただけないだろうか。
オリジナル曲ができれば、メンバーもファンも、もっと強く思い入れを持てる。アンチの一部も黙らせ、一般層にも波及していくかもれない。それは、ひいては48Gフォーマットの可能性をも広げることになるはずだ。